女衆五人でストリップショーに行ったらかわいいをおすそ分けしてもらえた話(後編)
ストリップショーでかわいいをおすそ分けしてもらった話後編です。
前編は常にテンションが高い女衆が輪をかけて発奮してしまったため、血抜きしようとカフェへと一時撤退を決めたところで終わりましたね。
女衆五人でストリップショーに行ったらかわいいをおすそ分けしてもらえた話(前編) - キューブログ
大変お待たせいたしました。
いざ、本番です。
商店街の老舗カフェでかき氷を5分で啜って悶絶する女3人、メントールキツめの一服をキメて万全の女1人、自律神経が狂ってて常にオエ…と前傾姿勢の女1人(私)、の計5人が劇場へと舞い戻ります。
商店街を抜け、時計を見ながら「開演まであと10分ぐらいあるしちょうど良いじゃん!」とかなんとか、舞い上がった小娘5人が青い看板目指してひた走る!(東洋ショーの青い看板は一度見たら忘れられない個性を放っています。目頭にツンとくるノスタルジックなブルー)
あたしたちの未来(ストリップショー)はすぐそこだ!
第3部、完!※ジョジョの奇妙な冒険第3部を読んでください
てな感じで完全勝利を確信した私たちは軽やかにビルの階段を駆け上がり、受付のお姉さんに腕の"外出バンド"をアハンと見せ、劇場の奥、ステージのある部屋の重厚な扉を開けてーーー・・・!
……座席、超埋まってました。
照明が完全に落とされ、自分の鼻先の油のテカリさえ見えない暗闇の中ですら分かる「満員御礼」の4文字。
愚者「お盆の昼からストリップショーに来る人はさすがそんなにいないでしょ〜ギリギリに戻っても余裕で座れるっしょ!」
賢者「ストリップショーには盆も暮れもない。あるのは開業日か、休業日。聖書にもそう書いてある」
ということで、素人のくせに余裕をこいてしまった愚かな私たちは結局、足元が覚束ないなかどうにか辿り着いた真っ暗な会場の壁際にへばりついていました。
友曰く「研修生が先輩のショーを見学してると思われそう」
な直立不動。
横にいる友の影すら見えないまま、やっちまった感で胸をいっぱいにしながら開演を待ちました。
すると、暗闇の中「〜!始めを飾るのは〜!〜ちゃん!どうぞご覧ください!」みたいなアナウンスが入った。
かと思うと、舞台がパッとライティングで浮かび上がったんですね。
あ、かわいい子がもういる〜〜〜〜!!!!!
パラソル持ってる〜〜〜〜!!!!!!
すっげかわいい子が〜〜〜〜〜〜!!!!!
です。
思っていた以上に急にかわいいが始まるんです。
人間、真っ暗闇から突然明るみに放り出され、しかも目の前のステージにむちゃくちゃかわいい女の子が水着姿で立ってると脳が「お?突然非現実的な?!これは夢すか?夢すね?じゃあもう理性はいいっすね!」つって思考を止めるみたいです。
なのでここからはずっ〜と夢見心地でした。
かわいい女の子がスピーカーから流れるポップな音楽に合わせてかわいいダンスを次々と披露してくれる。
もう、言葉、いる?
他の類人猿との間に大きな差をつけ進化するキーとなった、ホモ・サピエンスが誇る「言語能力」は、無力!
かわいい女の子のかわいいダンスの前に惨敗!
な〜んにも考えられなくなりました。
自分がこの場にいて幸せなこと意外、何も。
で、しばらくの間はかわいいダンスにひたすら脳を蕩かしてにこにこしてました。
変化が起きたのは、ダンサーさんがステージの先端部分、円形に配置された客席に囲まれるように設置された回転舞台で踊り始めた時でした。
その時人類は思い出した…。
これはただの「かわいい女の子のかわいいダンスショー」ではなく「ストリップショー」であることを…。
ダンサーさんが回転する舞台の上に来ると、なんとなくですけど、空気が「始まる」んですよね。
相変わらずにこにこ見ていた私も、その空気の変化に刺激され、溶けていた脳を掻き集めダンサーさんの一挙手一投足をしっかり見つめ始めました。
まぁ〜〜〜〜…すごく綺麗……
今の今まで溌剌と踊っていたダンサーさんが、回転舞台の上に到達すると"技"を披露し始めるんです。
まさしく「極めたエロティシズム」。
すごく綺麗なんですよ…。
下着を外す仕草なんか、指の先までエロティックが通ってて、今まで私が見てきたエロティックの通算量を1000と仮定すると、その指先だけで8000000はいったな、ぐらいのエロティック。
官能的な表情も、匂い立つような仕草も、熱いライトと長時間のダンスで吹き出た汗に濡れる裸体も、ダンサーさんが表出するものは全て計算されたエロティシズムで構成されている。
あまりのエロスのゲリラ豪雨に、私がタナトスだったら「死人が生き返るんでやめてください」と抗議を入れてました。
そして、完全に裸になったダンサーさんと観客の、ショーの最中では唯一の交流が起きるんですね。
それは、拍手。
クラップユアハンズ。
ダンサーさんは回転舞台の上で様々なポーズを音楽にのせて披露してくれるんですが、そのポーズの中でも陰部がよく見える"決め技"のような場面になるとスポットライトが一層明るくダンサーさんを照らし出すんです。
すると、それが合図のように沸き起こる拍手。
開演中は私語厳禁。
そんな、完全に演者と観客の間に第四の壁が築かれている中、陰部が照らし出された瞬間にのみ訪れる「拍手」という観客からの唯一の声なき「ブラボー!」
すごい…すごい世界観だ……。
圧倒されまくりました。
ぼんやりとした「ショー」のイメージには歓声をあげたり口笛を吹いたり、というものがあったので、東洋ショーの静謐を求めるシステムには最初からへぇ〜そうなんだ、予想外!という感じだったんですが、たしかにそのルールのもとに独特の「世界観」が出来上がってました。
陰部をさらけ出したダンサーさんをスポットライトが照らし出すあの時間、陰部は陰部でなくどこまでも観客を魅了する「陽部」になっていた。
そんな考えさえ浮かぶような独自のショー体系。
ダンサーさんが提供する、磨き上げ上げられたエロスとそれを受け取る観客。
そこには紛れもなく、舞台としての機能がありました。
受け取るのが物語かエロスかという違いはありますが。
ダンサーさんは入れ替わりで5人ほど、メイド服や着物などでそれぞれの個性と技量を尽くしてエロスを届けてくれました。
登壇後、2回ほどの写真撮影タイムもあり、ここ4年ぐらいで一番幸せそうな顔でむちゃくちゃ可愛かったメイド服のダンサーさんと写真を撮ってもらいました。
そうそう!ダンス後のレビューみたいな再登場の際は第四の壁ぜんぜんないんですよ!
ダンサーさんは「女の子だ〜!来てくれてありがとう〜!」とわざわざ私たちの前まできてポーズをキめてくださるし、玄人さんなんかはプレゼントを渡したりミニ扇風機でダンサーさんの股間に風を送る。
楽しい!これってグリーティングってやつ?!
あんまりテーマパーク行かないんだけどこれグリだよね!
って感じで、ショーの後もお楽しみがいっぱいです。
最後になるんですが、
「女五人衆がぞろぞろストリップショーにいくのってやっぱ多少気が引けんでもないな…冷やかすつもりではないし素直に見てみたいんだけど男性のプロ客さんたちの視線が痛いかな…」
的なことはやっぱり思ってました。
が、全然全然、ほんと被害妄想というか、嬉しい誤算というか、他のお客さん方(つまり男性の方々)、むっちゃ親切でした。
右も左も分からずカーボナイトされたハンソロみたいに壁に張り付いてた私たちを、わざわざ「姉ちゃんら!この席座り!よう見えんで!」と最前列の座席に案内してくれたおじちゃん。
ショーが終わった雰囲気に腰を上げた私たちを「あの、このあとグランドフィナーレっていう全ダンサーによるショーがあるから見てったほうが良いですよ」と引き止めてくれたお兄さん。
ありがとうございました…!
おかげさまで初めてのストリップショーを大満喫させていただきました!
この場をお借りしてアドバイス等々に感謝を述べさせていただきます。
というような感じで、女五人衆でいくストリップショーのレポ?レビュー?を締めようと思います。
友人たちと改めて共有した感想は
「人間、おんなじもん持ってても全然違うな」
という、同じ女体を持つものではあるものの、何もかもが違うからそれぞれのやり方で明日からも頑張りまっせ!という生きるパワーでした。
おしまい
参考